音楽情報を追いかけなくなり、いつの間にかすっかり疎くなってしまった。最近、1990年代に大好きだったバンドが22年ぶりに新譜を出すと知り、久しぶりに輸入CD店に出かけた。レジで在庫を確認すると取り扱っていないとのこと。そこでやっとネット検索してみたところ、なんとアナログレコードと、データダウンロードのみの販売であることが分かった。日本版CDを発売するとは思っていなかったが、まさか輸入盤CDが存在すらしないとはおどろいた。
ダウンロード購入に踏み切れずにいたところ、欧米ではすでにストリーミング配信が中心であり日本の音楽システムは遅れている、といったネットの記事を読み、再度衝撃を受けた。配信はストップされたらもう永遠に聴くことが出来ない。大きなシステムにおもねるしかなく危険ではないか。ダウンロードできるデータは、少なくとも所有できるだけマシなんだと思った。
こうして「ダウンロードできるだけまだマシ論」に頭を切り替え、購入ボタンをポチリとしてそれはわたしのPCにダウンロードされた。あっけなく、あまりにも味気なく、わたしはそれを手に入れた。パッケージのビニールを剥ぐという手間もなく、機器にメディアをセットすることも当然ながらなかった。
90年代にわたしが大好きだったそのバンドは「That Dog」というLAのロックバンドで、女性3人(ヴォーカル&ギター、ベース、バイオリン)と男性ドラマーの4人編成だった。22年ぶりの新譜ではメンバーが3人になっていたが、良い意味で少しも、少しも変わっていなかった。まるで10代のようなパンキッシュかつノイジーなギターサウンドに、美しいコーラスワークが乗るというまさにThat Dogの真骨頂な楽曲の数々。メンバーの女性ふたりは自分と同年代なので、この22年間の人生を思わずにはいられない。こうしてまた音楽を届けてくれて、また出会えてよかった、と心から思った。
音楽は素晴らしかったが、できればCDのアートワークを愛で、歌詞カードをじっくり読んだりしたかった。メンバーの写真やインタビュー記事を入手して思いを馳せる体験もしたかった。22年ぶりに再会した思い入れのある音楽と、そうやって向き合う手触りのあるモノがないというのは、本当にさびしい限りであるなぁ。思わずぼやきたくなる昨今の音楽システムなのだ。
