私の自宅兼仕事場の窓からは富士山が見える。と言っても家々の間にかろうじてその姿をとらえることが出来るような見え方なので、写真を撮って人に見せるような感じではない。(ああ、前の住宅がなければ!)
空気がキリっと冷たくなるこの季節は、窓を開けて富士山の見え具合を確認するのが毎朝の日課だ。真っ白な富士山と、手前に広がる丹沢山系の山々の稜線がくっきり見えると、その日はなんだかいいことがありそうな気がする。
中央線の車内からも富士山はよく見える。たまに電車に乗るときは富士山チェック。きれいに見えるときは、スマホを凝視する見知らぬ乗客に、「ほら、富士山だよ!」と教えたくなる衝動を必死でこらえる。なにがそんなにうれしいのだろう。我ながら不思議だ。
一番好きなのは、夕闇迫るシルエットだ。南西方面に丹沢山系の山々と富士山、公園の樹木や住宅のシルエットがどんどん濃くなっていく。あたりは急速に暗くなり、ヒヨドリの鳴き声がひびく。なぜか少しだけ不安になり、家に帰りたくなる。やがて暗闇に沈み見えなくなっていく富士山。はけ上から見える風景は、冬の間だけの楽しみである。
